その他（成長因子・幹細胞培養上清液・エクソソーム）の仕組み

細胞を使わない再生美容

これまで、再生医療といえば細胞を用いたものを指しましたが、再生医療の研究が進むに連れ、実は細胞から分泌される様々な物質（成長因子、サイトカイン、エクソソームなど）が重要な役割を担っていることが分かってきました。より安全に、より一般の方でも再生美容を利用できるよう日々研究が進められています。

成長因子を用いた再生美容

成長因子は特定の細胞の増殖や分化を促すタンパク質の総称です。成長因子はヒトの体内で作られていますが、基本的には20代後半から分泌が減少してしまい、それによって様々な老化現象が起こると言われています。成長因子を用いた再生美容では、外部から成長因子を補充することによって細胞の自己修復能力を引き出し、身体を若々しく保つことが可能になります。

長年の研究により、どの成長因子がどのように働くのか、どういった配合で添加するとより効果を発揮するのか、ということも詳細に分かるようになってきました。

幹細胞培養上清液を用いた再生美容

幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養した際に作られる培養液から幹細胞を取り除いた上澄み液です。この上澄み液には幹細胞が増える際に分泌される様々な物質（成長因子、エクソソーム、抗炎症因子、神経再生因子、コラーゲン、ヒアルロン酸など）が500種類以上と豊富に含まれています。これらが、体内の損傷を受けた組織や細胞の機能回復を促し、老化などで傷つき機能が衰えた細胞の修復を行います。

エクソソームを用いた再生美容

幹細胞培養上清液の中でも更にエクソソームと呼ばれるものに着目した再生美容もあります。

エクソソームは細胞から分泌される直径50～150nmの細胞外小胞※の一種で、細胞や組織に複数の情報を伝達するメッセンジャーとしての役割を担っており、再生医療や美容等の様々な分野で注目されている成分です。

通常、成長因子や抗炎症サイトカインなどは、1つの細胞に対して届けられる成分（情報）は1つになります。成長因子や抗炎症サイトカインだけでなくmiRNAやmRNAなどの遺伝子・タンパク質など複数の成分を持ったエクソソームを含んでいるため、これら全ての成分（情報）を1度に複数の細胞へ効率よく届けることができます。

エクソソームは小胞の中にタンパク質（成長因子）やmiRNAなどの成分を持っているため、外的要因を受けにくいという特徴があります。また、エクソソームは免疫細胞に向かって敵ではないことを伝えるタンパク質を表面に持っているため、免疫細胞（マクロファージ※）などの攻撃を受けることがなく、正常な状態で長時間体内に存在することが可能です。

細胞外小胞＝細胞内にある膜に包まれた袋状の構造の総称

マクロファージ＝体内に侵入した細菌などの異物を排除する役割